安徳天皇漂海記と万葉集
前半は源実朝が主人公。後半は高丘親王航海記へのオマージュを思わせる幻想味が増していく。
史実を基にした小説を読む楽しみとしては、断片的な情報として習った歴史上の出来事が、ストーリーとして組み上がっていく瞬間に没頭できるところだと思う。
無我夢中で読んだ後で、ほっと一息ついて、今読んだ本の内容がどこまで本当でどこからが空想なのか、Wikipediaを繰って確かめる。
この本を読むと、鎌倉幕府の3代将軍実朝というマイナーなキャラクターの人生に引き込まれる。歴史と古文の授業で微かに習った源実朝に関する情報とその時代の流れ、3代で終わった鎌倉将軍家の3代目、金槐和歌集の撰者、摂関政治の焼き直しのような執権政治の始まり、なんとなくそういうものを思い出させながら小説の中の実朝のキャラクターに引き込まれていく。
読み終わってから金槐和歌集が読みたくなったので、本屋に行ったが立ち読みしてもイマイチ和歌の内容が頭に入ってこない。これは最初から初めなあかんなぁと思い、万葉集から読み始めた。
万葉集を読むとこれがまたぞろ古代からの歴史上の人物のオンパレードである。一首読むたびにWikipediaを見て、記憶の中のその人物のストーリーと合っているか調べるので時間がかかるが。これが面白い。言葉遣いも授業で習った古文より古いから解説と本文を往復して読まないといけないがこれも面白い。ただ、長すぎて2/4巻で読むのを放り出した。古今和歌集と新古今和歌集を読んで金槐和歌集に辿り着くのは大分先になると思う。
ながしに誘ってもらったので、目についたところにあった安徳天皇漂海記を読んだが、これを読んで万葉集を読んでたのがちょうど令和の発表がある前だった。最近読んだなかで、面白い本を選んで読んだつもりだったけど、結構昔やな。